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見積書の「一式」で止まっていませんか——映像・AIの値段が読めない理由


「お見積り、一式で120万円です」

映像を頼もうとして、こういう見積書を受け取ったことはありませんか。

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映像制作一式 1,200,000円

諸経費 120,000円

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合計 1,320,000円

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紙は1枚。数字は2つ。書いてあることは、ほぼ何もない。

社長は困ります。高いのか安いのか分からない。値切っていいのかも分からない。「じゃあ100万円になりませんか」と言ったとき、何が削られるのかが分からない。削られたものが、実は一番大事な部分かもしれない。

だから決められず、見積書は机の端に置かれたまま3か月経ちます。私たちが越谷や近隣の経営者からいちばんよく聞くのは、「高くて断った」ではなく「分からなくて止まった」という話です。

この記事では、なぜ映像やAIの見積りは中身が見えないのか、その理由を正直に書きます。そのうえで、社長が明日の相見積りで使える「内訳の見方」をお渡しします。YMMに頼まなくても使える話です。

なぜ「一式」になるのか——3つの、わりと正直な理由

業界を責めたいわけではありません。「一式」には、それなりの事情があります。

1つめ。本当に読めていない。

映像もシステム開発も、着手する時点では作業量が確定しません。取材してみたら想定の倍の時間がかかった、というのは日常です。だから幅を持たせる。幅を持たせた数字を分解して見せると、かえって嘘っぽくなる。それで丸める。

2つめ。分解すると値切られる。

「編集に5日? 3日でできるでしょう」と言われる。内訳を出した瞬間に、一行ずつ交渉の対象になります。だから出さない。これは売り手側の防衛です。気持ちは分かります。

3つめ。そもそも内訳が社内に無い。

これがいちばん多いかもしれません。「だいたいこれくらい」で長年やってきて、自分の値段の作り方を言葉にしたことがない。説明できないから、出せない。

私たちも偉そうなことは言えません。YMMも創業から長いあいだ「一式」で出していました。内訳を整理し始めたのは、お客様から「これ、何にいくらかかってるの?」と聞かれて、その場でうまく答えられなかったのがきっかけです。答えられない自分が、いちばん恥ずかしかった。

内訳が読めないと、何が起きるか

見積りが読めないまま発注すると、だいたいこの3つのどれかが起きます。

追加請求が出る。 「そこまでは一式に含まれていません」。含まれる範囲が書いていないので、反論できない。

期待とズレたものが納品される。 「一式」の中で何が優先されたか、双方の理解が違っていた。撮影に力を入れてほしかったのに、編集のエフェクトに時間が使われていた、など。

比較ができない。 A社120万円、B社90万円。安いB社に決めたら、B社は撮影1日だけでカメラも1台だった。A社は2日で2台。比べていたつもりで、違うものを見ていた。

3つめが、いちばん損が大きい。価格で選んだつもりが、実は「量が少ないほうを選んだ」だけ、ということが起こります。

内訳の読み方——3つに分けて考える

ここからが本題です。難しい知識は要りません。見積りを、性質の違う3つに分けて考えるだけです。

① 作業(人日 × 単価で説明できるもの)

撮影、編集、収録、機材の準備。これらは「誰が、何日、何を使ったか」で説明できます。時間と手間がそのまま金額になる部分です。

ここは内訳を聞いていい部分です。 むしろ、聞いて答えられない会社は少し心配したほうがいい。

聞くべきことは3つだけ。

  • 何日ですか(撮影日数・編集日数)

  • 何人ですか(カメラ何台、スタッフ何人)

  • 機材の費用は別ですか、込みですか

この3つが分かると、120万円という数字が「多いのか少ないのか」ではなく「何を買っているのか」に変わります。

② 企画・構成(知的生産。人日では測れないもの)

一方で、「どう撮るか」「何を伝えるか」を決める部分は、時間で測れません。1時間で出た良い構成と、3日悩んで出た平凡な構成では、前者のほうが価値があります。時間をかけたほうが安くなる、という逆転が起きる領域です。

だからここは、内訳を細かく出すのが必ずしも誠実とは限りません。「企画料 3日分」と書いてあっても、社長にとっての意味は薄い。

ここで見るべきは金額ではなく、中身の提案があるかどうかです。見積書と一緒に、「御社の場合はこういう構成にしたい」という話が付いてきているか。付いていないなら、企画料の名目だけがあって中身が無い可能性があります。

私たちYMM自身も、この線引きで値段を作っています。撮影・編集は人日で内訳を出す。企画・構成は成果物として受ける。 理由は正直に書きます。企画をまとめる作業は、これから先AIができるようになっていく領域です。そこを「何時間かかりました」で売ると、単価はいずれゼロに向かいます。だから時間ではなく、出したものの価値で受け取る。そう決めました。

③ 実費(立て替えているだけのもの)

出張費、交通費、ロケ地の使用料、素材や音源の購入費。これらは制作会社の儲けではなく、立て替え分です。

ここは「実費です」と明記されているかを見てください。実費が「一式」に溶けていると、後から追加になりやすい。

実際の例——「1日10万円」の中身を開けてみる

抽象論だけでは使えないので、私たちの値札を1つ、そのまま開けます。

YMMの映像配信は、1日10万円〜です。この10万円は、こういう積み上げでできています。

項目

金額

 機材セッティング費

50,000円 / 1日

山崎の日当

50,000円 / 1日

 合計(ワンオペ1日)

100,000円

増えるときも、理由がはっきりしています。

  • カメラを2台以上にしてスタッフを増やす → 1人1日あたり +50,000円

  • 簡易編集を付ける → +50,000円 / 日

  • しっかり編集する(2日以上) → 100,000円〜(実際にかかった日数で)

つまり「配信だけなら10万円〜、簡易編集込みで15万円〜」。ここまでは、聞かれれば全部お答えします。

そして、ここから先は分けています。企画・構成は別途です。人日での換算は書きません。出張費は実費でいただきます。現地に行って、その場で見て聞いて感じる部分は、後の仕事の質に直結するので、削らずに実費で残しています。

この表を出すと、たまに「そんなに開けて大丈夫ですか」と言われます。大丈夫です。内訳を見て「高い」と思われるなら、それは私たちが説明すべきことなので。 分からないまま高いと思われるほうが、よほど困ります。

数字で見る、実際の仕事——20本を2日で

内訳の話をもう一歩、実際の現場に寄せます。

昨年、医薬情報担当者(MR)向けの教育コンテンツを制作しました。20本で約120万円です。(※発注元・講師名は未確認のため社名は伏せています/要確認)

内訳の考え方はこうでした。

  • 収録は2日間。1日あたり10〜12本のペース。

  • 現地でスイッチャー(複数のカメラ映像をその場で切り替える機械)を使い、撮りながら編集する方式。

  • 講義の中身そのものは講師の先生が作成済み。YMMの担当は収録と編集

  • プロンプター(原稿を映す装置)を使い、先生が読み進める形で進行。

ここで社長に見ていただきたいのは、120万円という金額ではありません。「2日で20本」という段取りのほうです。

もしこれを1本ずつ、撮って持ち帰って編集して確認して、を繰り返していたら、講師の先生の拘束は2日では済みません。何度も日程を押さえ、そのたびに移動していただくことになる。先生の時間こそが、この仕事でいちばん高い費用です。

現地で撮りながら仕上げる方式を選んだのは、そこを削るためでした。だから「20本120万円」の内訳には、機材と人日だけでなく、その段取りを選んだ判断が入っています。

正直に付け加えると、この仕事は納品後の反応がほとんどありませんでした。「機材はすごいねぇ」とは言っていただきましたが、内容についての意見は無く、続きの仕事にもなっていません。良い話だけ書くのは違うと思うので、そこも書いておきます。

明日から使える、内訳の聞き方(YMM以外に頼むときも同じ)

ここまでの話を、そのまま質問の形にします。相見積りを取るとき、どの会社にでも聞いてください。

質問1:「作業の部分だけ、日数と人数を教えてください」

撮影何日、編集何日、当日は何人。これに答えられる会社は、自分の仕事を把握しています。答えを渋る場合は、「値切るつもりはなく、比較のために聞いています」と一言添えると、たいてい出てきます。

質問2:「この金額に含まれないものは何ですか」

含まれるものより、含まれないものを聞くほうが早い。修正回数、出張費、素材の購入費、納品後の手直し。ここが後の追加請求になります。

質問3:「企画・構成の部分は、どういう考えでこの金額ですか」

金額の根拠ではなく、考え方を聞くのがコツです。ここで具体的な提案が返ってくるか、言葉が濁るかで、だいたい分かります。

質問4:「安くするなら、どこを削ることになりますか」

これがいちばん効きます。予算が合わないときに「じゃあ安くします」とだけ返ってくる見積りは、最初の数字に根拠が無かった可能性があります。まともな会社は「削るならここです、その代わりこうなります」と答えます。

この4つを聞いて、気持ちよく答えてくれた会社に頼めば、大きく外すことは少ないはずです。それがYMMでなくても構いません。

AIの見積りは、もっと読みにくい

映像はまだ、撮影日数という物差しがあります。AI導入やシステム開発は、それすらありません。

「AIチャットボット導入一式 80万円」と書かれても、何を買っているのかまったく分からない。しかもこの分野は動きが速く、去年の相場が今年通用しません。

ここでも、分け方は同じで通用します。

  • 作業:既存の道具をつないで動かす部分、社内の資料を読み込ませる部分、使い方の講習をする部分。日数で説明できます。

  • 知的生産:御社の何をAIに任せ、何を人が持つかを決める部分。ここは時間では測れません。

  • 実費:AIサービスの月額利用料など。これは制作会社の売上ではなく、御社が毎月払い続ける固定費です。 見積書に入っているか、別途かを必ず確認してください。

3つめは特に注意してください。初期費用ばかりを比べて、毎月いくらかかり続けるのかを確認していない見積りが、けっこうあります。

なお、AI導入で使える補助金についてよく聞かれますが、私たちは「この補助金が使えます」とは申し上げません。 要件は年度や公募回ごとに変わり、対象になるかは会社ごとに違います。私たちは補助金の専門家ではないので、判定はできません。使えるケースはありますので、そのときは一緒に公募要領を確認し、必要なら専門家におつなぎします。そこまでが私たちのできる範囲です。

私たちが内訳を出す理由

YMMは越谷で、映像を20年やってきました。いまはAIを使ったシステム開発もしています。

内訳を出すことにしたのは、格好つけたいからではありません。内訳を出せない状態のままだと、自分たちが困るからです。

内訳が無いと、社内で値段の理由を共有できません。人が増えたときに引き継げません。何より、お客様に聞かれたときに答えられない。答えられないと、「まあ、そういうものかと思って」という発注になります。そういう発注は、たいてい後で誰かが不満を抱えます。

だから、作業は開ける。企画は成果物として受ける。実費は実費といただく。この3つを、全サービスで揃えていく作業を、いま社内で進めているところです。まだ全部は終わっていません。内訳が固まっていないサービスについては、数字を作らずに「お見積り時に内訳をお出しします」とお伝えしています。先に数字を言って、後から辻褄を合わせるほうが、よほど不誠実だと思うので。

最後に

見積書が「一式」で止まっているなら、それは社長の理解力の問題ではありません。書いていないものは、読めません。

まずは今お手元にある見積書を、3つに分けてみてください。作業か、知的生産か、実費か。分けられない行があったら、そこを聞いてください。それだけで、判断できるようになる見積りは多いはずです。

そのうえで、「聞いても答えが返ってこない」「そもそも誰に聞けばいいか分からない」という段階でしたら、私たちにご相談ください。YMMに発注する前提でなくて構いません。 お手元の見積書を一緒に読んで、「この行は何を指しているはずですよ」というところまでは、お話しできます。

映像でもAIでも、まず値段の話が普通にできること。そこから始めたいと思っています。


株式会社山崎メディアミックス(YMM)

埼玉県越谷市/映像制作・AI導入支援・システム開発


 
 
 

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