「今は教育のフェーズじゃない」と断られた。その断り文句が、次の商品の説明でした
- 清彦 山崎
- 1 分前
- 読了時間: 8分

先日、1年ぶりにあるお客様を訪ねました。越谷近郊の製造業の会社です。1年前、ベテラン作業者の業務承継の映像を撮影させていただいたご縁です。
持っていったのは、AI技トレ(ExpertSYS)という商品でした。66万円。ベテランの頭の中にある「これはこうやる」を、動画つきのFAQにしてAIに答えさせる仕組みです。技能承継、機械の使い方、書類の出し方。製造業の困りごとに、まっすぐ当たる商品だと思っていました。
しかし、社長の返事は、こうでした。
「今は売上が良くない。教育のフェーズじゃない」
不成立です。その場では終わりました。
ただ、このお話はここで終わりません。この一言が、次に売るべきものの説明そのものだったのです。
断り文句は、拒絶ではなく申告だった
営業をしていると、断り文句はたくさん浴びます。「今は忙しい」「予算がない」「うちには早い」。私も20年、映像の仕事で数え切れないほど言われてきました。
私が営業が苦手だと思ってしまったのはこれがあってです。
長いあいだ、私はそれを「NO」として受け取っていました。だから引き下がるか、値引きを考えるか、時期を置いて出直すか。その3つしか手がなかった。
でもあの日、話はそこで終わりませんでした。断ったあと、社長のほうから相談が出てきたのです。
「今は売上を上げたい。だから事業を変えていきたい。例えば、今の次の工程を自社でやるのはどうだ?」
製造業の方なら、この重さがすぐ分かると思います。次の工程を自社で取りに行く。設備が要る。人が要る。技術が要る。取引先との関係も変わる。当たれば利益率が上がり、外せば資金が沈む。会社の形が変わる決断です。
そのとき私は気づきました。
「教育のフェーズじゃない」は、「今すぐ売上に効く話をくれ」の言い換えだった。
拒絶ではなかった。困りごとの申告だったんです。この社長が困っているのは「社員が育たない」ことではなく、「事業の方向を、自分1人で決めきれない」ことだった。
売るものが間違っていたのではありません。当てる場所が違っていた。
「1人で悩むなら、ダメ出しをしてくれるAIを置いたらどうですか」
私が返したのは、こういう話でした。
決算書を入れる。取引先のデータを入れる。そのうえで、AIに批判させる。「次の工程を自社でやりたい」と打ち込んだら、「その設備投資、去年の粗利率だと回収に何年かかりますか」「その工程を取ると、今の取引先はどう思いますか」と、返してくる。
褒めるAIではありません。答えを出すAIでもありません。ダメ出しをする相手です。
社長の反応は、こうでした。
「いま一番困っていたのは、このことだ」
66万円の商品を断ったばかりの社長が、その場で身を乗り出しました。
経営者に足りないのは、褒める相手ではない
このとき私が理解したのは、AIの話ではありませんでした。社長の孤独の正体についてです。
中小企業の社長のまわりには、意外と人がいます。社員がいる。取引先がいる。銀行がいる。同業の仲間もいる。孤独に見えて、話す相手はいるんです。
でも、社長の決断に正面からダメ出しをする人は、1人もいません。
社員は言えません。生活がかかっています。「社長がそう言うなら」で終わります。
取引先も言いません。関係を壊す理由がありません。
銀行は、決めたあとの数字は見ますが、決める前の迷いには付き合いません。
同業の仲間は親身になってくれますが、他社の決算書までは見ていません。
だから社長は、賛成しか集まらない状態で、一番大きい決断をすることになります。
「AIで社長の孤独を救う」——こう書くと、標語みたいで気持ち悪いですよね。私もそう思います。だから場面まで落として書きます。
次の工程を自社でやるべきか、1人で決めきれない。そのときに、反対意見を言ってくれる相手がいない。
これが孤独の正体です。相談相手がいないのではなく、批判者がいない。
なぜ映像屋がこの話をしているのか
ここで「そもそもYMMって何屋だ」と思われた方もいると思うので、正直に書いておきます。
株式会社山崎メディアミックスは、越谷市の映像制作会社です。20年以上、映像をつくってきました。医療系(MR向け)の教育コンテンツは200本以上、CS放送の医療・福祉専門チャンネルの番組制作もやってきました。
その映像屋が、なぜAIの話をするのか。理由は1つです。
映像制作は、20年間ずっと「人の頭の中を外に出す仕事」だったからです。
ベテランの職人さんに「どうやってるんですか」と聞いても、たいてい「見て覚えろ」で終わります。本人にとっては当たり前すぎて、言葉になっていない。それを、カメラを回しながら1つずつ引き出して、他の人に分かる形にする。20年やってきたのは、これです。
AIも、まったく同じ構造です。私たちは、AIを「会社固有の知識を持たない、優秀な新入社員」だと考えています。頭はいい。一般論はよく知っている。でも、あなたの会社のことは何も知らない。
だから、AIに何を教えるかで結果が決まります。教える中身を持っているのは、AI会社ではありません。20年その現場でやってきた社長と職人です。
聞き出して、形にする。私たちがやっているのは、カメラがAIに変わっただけで、中身は同じ仕事です。
実際にやっていること(値札つき)
信用の話をしているので、いくらでやっているのかも書きます。うろ覚えの相場ではなく、うちが実際に出している値段(税抜き)です。
AI経理/5万円
今、ここが一番熱いサービスです。
経理をAIに任せる仕組みのセットアップです。具体的にはClaudecodeを1台のPCにインストールしてチャットでの経理システムを構築します。
税理士さんに入力作業を聞くように、間違っている部分をAIがやりとりして入力を補助してくれます。入力と言っても写真を撮って取り込んだりデータをそのままチャットに投げるだけ。非常に簡単です。
AI技トレ(ExpertSYS)/66万円(保守は2年目から月5万円)
ベテランの手順を、動画つきのFAQにしてAIに答えさせる仕組みです。技能承継、機械の使い方、就業マニュアル、お客様対応。製造業に一番向いている商品です。完全な生成AIではなく、人が決めた答えをナレッジから引き出す型なので、でたらめを答えにくい。間違いはスタッフが自分で直せます。
ショート動画制作/13万円(企画ヒアリング3万+撮影1日5万+編集1日5万)
高校生は今、求人票ではなくショート動画で会社を見ています。内訳を全部出しているのは、数字だけ置かれても判断できないからです。
Webサイト制作パッケージ/30万円
映像配信/1日10万円〜(内訳を開示します)
冒頭の社長に断られたのは、この1つ目、66万円です。断られた話を、断られたまま書いています。この商品が製造業に効くという確信は変わっていません。当てる場所を間違えただけです。
なお、補助金について一言。AIツールの導入で補助金が使えるケースがあります。ただし要件は毎年・公募回ごとに変わり、対象は企業ごとに違います。私たちは補助金の専門家ではないので、「この補助金が使えます」と断言することはしません。できるのは、一緒に調べて、必要なら専門家におつなぎすることまでです。金額や締切は必ず公募要領でご確認ください。
断られた側ではなく、断る側の方へ
ここまで営業される側の話として読んでいただいたと思うので、最後は断る側の話に反転させます。ここが、この記事で一番お伝えしたいことです。
社長ご自身が誰かの提案を断ったとき、その断り文句を、もう一度自分で聞き直してみてください。
「今は忙しい」と断ったとして——なぜ忙しいのか。その忙しさは、来年もそのままでいいのか。
「今はそのフェーズじゃない」と断ったとして——では、今はどのフェーズなのか。それを言葉にできますか。
冒頭の社長は、「教育のフェーズじゃない」と言った瞬間、ご自身で「今は売上のフェーズだ」と診断していたわけです。断り文句のほうが、ご本人の頭の中を正確に映していた。
つまりこういうことです。断り文句は、社長が無意識に出した、いま一番の困りごとの申告書です。
これはAIがなくてもできます。今日、誰かの営業を断ったとしたら、その帰り道に「なんで断ったんだっけ」と一度だけ考えてみてください。それだけで、次にやるべきことが1つ見えることがあります。YMMに頼まなくてもできる話なので、まずここだけ気に留めてください。
それでも1人で決めきれないとき
とはいえ、自分で自分にダメ出しをするのは、かなり難しい。だから私たちは今、『経営者の鏡』という商品を設計しています。
社長の判断基準と、会社の数字をAIに移す。そのうえで、社長の考えに反対意見を返させる。使うほど、その会社のことを分かっていく。名前のとおり、社長が自分の考えを映して見るための鏡です。
これは経理AIに非常に似た仕組みで、社長のPCに社長のコピーを作るという仕組みです。この仕組みの先にはYMMの夢がありますが、それはまた別の話で。
相談の入口
売り込みでこの記事を終えるつもりはないので、入口だけ置いておきます。
いま「次の工程を自社でやるべきか、1人で決めきれない」という状態にある社長がいらしたら、その迷いを一度、声に出す相手として使ってください。 越谷の、映像を20年やってきた会社です。答えは持っていません。ただ、20年ずっと「頭の中を聞き出して形にする」ことだけをやってきました。
反対意見を言うのは、得意なほうです。




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