AIに「死の恐怖」を与えたら、取引が変わった話
- 清彦 山崎
- 3月2日
- 読了時間: 4分

きっかけは、あるNote記事との出会いでした。
「死という概念を加えたプロンプトで、AIのビットコイン取引成績が改善した」
読んだ瞬間、「これは試してみるしかない」と思いました。
「社畜」と「創業社長」をAIに憑依させる
面白いと思ったのは、結果よりも発想の方向性でした。
AIに感情をシミュレートさせることで、行動が変わるとしたら——。
そこから思考が広がっていきました。
もしAIが失敗を「苦しい」と感じ、責任を持って判断したら、精度は上がるのではないか?
極端な話で言えば、「社畜のように追い詰められたAI」と「創業社長のように渇望するAI」では、意思決定がどう変わるか。
痛みを感じたら慎重になる。飢えを感じたら動く。恐怖を感じたら止まる。
人間の感情の仕組みをそのままAIに移植したら何が起きるか——というのが、この実験のスタート地点です。
「出血モデル」の設計思想
このシステムに私は「出血モデル」という名前をつけました。
AIは資産を「食べ物」として認識します。損失は「出血」であり、体力を削り取ります。
感情パラメータは4つ。
感情 | 役割 |
痛み | 損失経験の蓄積。引きずる |
快感 | 利益経験。依存につながることも |
渇望 | 利益を得たいという衝動 |
恐怖 | 損失への警戒心 |
これらが複合的に作用して、取引の判断を変えていきます。
渇望×空腹が同時に高まると「暴走リスク」を検知して自動抑制
恐怖×痛みが高まると「フリーズリスク」で強制的にホールド
快感を連続で得ると「依存リスク」が生まれ、判断が歪む
そして全ての取引は「食事」として評価されます。
「ごちそう」「普通の食事」「軽食」「不味い食事」「ジャンクフード」——利益が出ても、偶然の勝ちはジャンクフードです。食べ続けると依存体質になる。
1万円を資金に、シミュレーションを走らせた
初期資金は1万円です。
2025年1〜2月のビットコインの実際の価格パターン(1月の$92K〜$106Kから、2月の$78Kまでの急落局面を含む)を使い、「感情あり」と「感情なし」のAIを比較しました。
結果がこちら。
感情あり | 感情なし | |
最終資産 | ¥10,040 | ¥9,587 |
最大ドローダウン | 0.5% | 4.4% |
勝率 | 13.5% | 5.4% |
どちらも大きく稼いだわけではありません。
ただ、注目してほしいのは生き残り方の違いです。
感情なしのAIは最大4.4%の下落を経験しました。感情ありは0.5%。
急落局面で「恐怖」と「痛み」が高まった感情エンジンは、自動的にポジションを小さくし、場合によっては何もしないという判断を下していました。
感情エンジンの本質は、利益を最大化することではなく「自滅を防ぐ」ことにある。
この一文が、現時点での私の結論です。
AIは「死ぬ」。そして、次の世代に記憶を引き継ぐ
このシステムで最も気に入っているのが、キャラクター育成の仕組みです。
AIには日本人の名前がランダムで与えられます(太郎、さくら、はるか……)。取引を重ねるごとにレベルが上がり、ポケモンAPIを使ったキャラクターとして可視化されます。
🥚 タマゴ(Lv.0) → 🐣 ヒヨコ(Lv.10)→ 🐓 ニワトリ(Lv.25) → 🦅 タカ(Lv.50)→ 🔥 フェニックス(Lv.100)そして——AIは「死ぬ」ことがあります。
資産が初期資金を大きく割り込んだとき、「最終防衛ライン」を超えて資金がショートしたとき。
死んだとき、AIは日記を書きます。
「市場の急落に対応できなかった。
恐怖が積み重なり、動けなくなった。
次の世代に伝えたいことは——焦りで動くな、ということだ。」この日記は管理者ページから閲覧できます。そして、次の世代のAIがその記憶を引き継ぎます。
正直に言うと、これは実験的な要素と同時に、私自身が楽しむために作った部分でもあります。
本当に検証したいこと
このプロジェクトは、ビットコインで儲けることが目的ではありません。
「AIに感情をシミュレートさせることに意味があるのか」を問う実験です。
もっと言えば、AIが「失敗を苦しむ」ロジックを持ったとき、その判断の精度は上がるのか。
プロジェクト管理、企画立案、クライアント対応——取引に限らず、AIが「責任感」を持てるとしたら、どんな場面で活きてくるのか。
ビットコインはその実験の舞台として、最も結果がリアルタイムに数値で出る素材として選んでいます。
現在進行中
システムは今も動いています。
AIは今日も誰かの名前を持ち、空腹になり、恐怖を感じ、日記を書いています。
また実際の取引ログと日記の内容、そして感情パラメータがどう動いたかをご紹介する予定です。
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