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AIと二人三脚で作った見積システム:中小企業の業務効率化を6時間で実現した実録


はじめに:見積作成の悩みから解放されたい


「見積書を作るのに、毎回30分以上かかる...」 「お客様が映像制作の全体像を理解できず、説明に時間がかかる...」 「電話やメールでの問い合わせ対応で、本業の時間が削られる...」

業務が多岐にわたる映像制作の見積もりは複雑です。収録だけなのか、編集も必要なのか、スイッチャー収録の方がお得なのか...お客様自身もよくわからないまま問い合わせをいただくことが多く、その都度説明に時間を取られていました。

そこで思い立ったのが、現在1日1アプリを1時間で作るというプロジェクトを行っているAIを活用した見積システムの開発です。プログラミング知識がWebコーディングレベルのわたしが、Claude(AI)と協力して、わずか6時間で実用的な見積システムを作り上げた実録をお伝えします。


▼こちらのシステムもご確認ください▼

YMM見積システム



なぜAIで見積システムを作ろうと思ったか


YMMでは、お客様から「収録と編集をお願いしたい」という連絡をいただいても、実は現地でスイッチャー収録すれば同じ金額で手離れも良い、といったケースが多々ありました。しかし、そもそもお客様は映像制作の選択肢をご存じないため、最適なプランをご提案するまでに時間がかかっていたのです。

また、相見積もりとして使ってもらうことで、YMMの名前を知ってもらう機会も増やしたいという思いもありました。Web上で簡単に見積もりができれば、営業ツールとしても活用できると考えたのです。



実際のAI開発プロセス:最初の指示文


では、実際にどのようにAIに指示を出したのか、最初のプロンプト(指示文)をご紹介します:

映像制作に関してのヒヤリングプログラムをつくってみたいと考えました。
株式会社山崎メディアミックスでは『映像制作』を行っているのですが、そもそもお客様自体が
・収録をお願いしたい
・シンプルに撮影をお願いしたい
・撮影後に編集してもらいたい
・生配信をしてほしい
というような全体のカテゴリーをよくわかっておりません。

[中略]

そんなものがWeb上から選択できてわかりやすくつたわるような見積もりシステム(以前配信の整理システムを作りました)を構築したいです。

このように、まず解決したい課題を具体的に伝えることから始めました。プログラミング用語は一切使わず、ビジネスの課題をそのまま伝えただけです。



AIからの提案と修正のやり取り


AIは私の指示を理解して、システムの基本構造を提案してくれました。ただ、最初から完璧ではありません。例えば、AIは「簡易編集」という表現を使いましたが、実際は「スイッチャー収録」という専門的な内容だったため、以下のように修正を依頼しました:

簡易編集希望とありますが、簡易編集ではありません。スイッチャー収録で改行しておすすめを表示してください。
当日の切り替えをそのまま納品(ライブ配信も対応【会場調査及び回線調査等は別途お問い合わせください】)としてください

このように、業界特有の用語や細かいニュアンスを伝えることで、AIは徐々に私たちのビジネスを理解し、より適切なシステムを構築してくれるのです。



価格設定の詳細指示:ビジネスロジックの組み込み


見積システムで最も重要なのは価格計算ロジックです。これも具体的に指示しました:

プロモーションの②ですが、企画部分をもっとわかりやすくしたいですね。プルダウンで項目と金額を変えましょう。
・インタビュー動画(5万円)2〜3名企画費 3分
・プロモーション5分以内(5万円)
・プロモーション10分程度まで(8万円)
・企画動画15分以上(要相談)

さらに、交通費の計算も地域別に細かく設定:

東京・埼玉・千葉は車両費として1万円をプラスしてください。
栃木・神奈川は1.5万円、茨城・群馬は2万円としてください。

このように、実際のビジネスルールをそのまま言葉で伝えるだけで、AIは複雑な価格計算ロジックをプログラムに落とし込んでくれました。



つまずいたポイントと解決方法


開発中、いくつかの課題に直面しました:

1. 制作スケジュールの説明不足 最初は納期について説明していなかったため、後から詳細な工程を追加で指示しました。事前に全体像を整理しておくことの重要性を実感しました。

2. 管理費の計算位置 全体の0.5%の管理費を追加する際、表示位置について何度か調整が必要でした。「編集費の下に管理費を追加してその下に交通費を」というように、具体的な表示順序を指定することで解決しました。

3. PDFダウンロード機能の実装 デジタルスタンプや利用規約の表示など、セキュリティ面での配慮も必要でした。これらも言葉で要件を伝えることで、適切に実装されました。

また現在(令和7年6月4日現在)も上手く行っていないのですが、見積もり書で割引コードを入力した際、消費税抜きの表記が出ていますが実際は消費税込みの金額です…



完成したシステムの効果


なんだかんだ補正を繰り返し6時間の開発を経て完成したシステム(https://ymm4u.com/ymm-estimate-system/

は、以下がその特徴です。


  • 見積作成時間が30分→3分に短縮

  • お客様が自分で最適なプランを選べるようになった

  • 問い合わせ前の段階で価格感を把握してもらえる

  • 相見積もりツールとしてYMMの認知度向上に貢献



中小企業がAI開発を始める際の5つのポイント


この経験から学んだ、AI開発成功のポイントをまとめます:

1. 完璧を求めない 最初から100点を目指さず、60点でも動くものを作ることが大切です。使いながら改善していけば良いのです。

2. ビジネスルールを言語化する プログラミング用語は不要。普段使っている業務用語でそのまま説明すれば、AIが理解してくれます。

3. 具体例を豊富に提示する 「インタビュー動画は3分で5万円」のように、具体的な例を示すことでAIの理解が深まります。

4. 修正を恐れない AIも完璧ではありません。何度でも修正を依頼し、理想に近づけていきましょう。

5. 小さく始めて大きく育てる 今回のシステムも、最初は基本機能のみ。今後、顧客データベースとの連携など、機能を追加していく予定です。



まとめ:AIは中小企業の強力な味方


プログラミング知識ゼロでも、6時間でビジネスに直結するシステムを作れる時代になりました。重要なのは、あなたのビジネスの課題を明確に言語化することです。

AIは優秀な開発パートナーです。専門用語を使う必要はありません。普段の業務で使っている言葉で、解決したい課題を伝えれば、AIがそれをシステムに変換してくれます。

見積システムに限らず、在庫管理、顧客管理、スケジュール管理など、様々な業務効率化ツールをAIと共に作ることができます。まずは小さな課題から始めてみませんか?

YMMでは、中小企業のAI活用についての無料相談を実施しています。「こんなシステムが作れるか?」「どこから始めれば良いか?」など、お気軽にご相談ください。




 
 
 

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